Concept house Saijo of 東京の建築家と建てる家 自然素材のデザイナーズ住宅 連合設計社市谷建築事務所

自然素材で建てるデザイナーズ住宅 東京の建築家と建てる家づくり

rengoDMS連合設計社市谷建築事務所

グッドデザイン賞受賞


photo : GFD

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Concept House Saijo

「ひろがり」を求めて

08.jpgそのすまいが建つ場所はとても大きな条件。
周辺環境の様子から、日差し、風通し、プライバシー、眺望などを慎重に読み込みます。
特に視界の抜ける方向を探すことを重視しています。
コンセプトハウスの敷地は南に道路が接してはいるものの隣家との距離がとれません。
一方北側には遠くまで見渡せる山並みがありました。
南側に白い塗り壁の塀を立てて中庭をとり、北側に高窓を設けます。
空を切り取った中庭は陽だまりをつくるプライベートガーデン。
カーテンで閉め切らなくても気がねなくオープンにできます。
北側の高窓からは遠方の眺望が室内に奥行きをもたらします。
外への繋がりがすまいのひろがりの根底を支えるのです。

「家の広さは40坪」という声をよく聞きます。
もちろん、くらしの実情を考えれば必要な場合もありますが、
多くの場合、合理的なプランニングによって1割程度は小さくできます。
コンセプトハウスは約37坪。
廊下は極力つくりません
リビングとダイニングは一体の大広間にしています。
階段さえもリビングとダイニングの緩やかな仕切として、部屋の一部に取込みました。
和室は引戸一本で大広間と繋がります。
中庭に面する引込形式の開口部は、和室‐中庭‐リビング‐ダイニングと回遊できる仕掛け。
部屋の窓から庭を介して自分の家が見えることで、実際の面積とは比べ物にならないほど広く感じますし、
ゲストルームとして、リビングとの程良い距離感をつくります。
2階は寝室などのプライベートゾーン。
子供室は2室に分割可能な可変形式で、将来の変化に対応します。
流動的な子供の部屋は必要以上に大きくとらず、むしろ家族で共有できる、勉強や本読み、
調べものができる場所を設けてあります。

部屋は細かく区切らずにおおらかにつくること、部屋同士を緩やかにつなげることで、
「ひろがり」が生まれるのです。

家事を楽しく

13.jpg家にいちばんいることが多いのは主婦(あるいは主夫?)です。
家事を合理的にこなす、プランニングはかかせません。

キッチンから洗面、バスルームへの動線は極力短くします。
食事の用意やお弁当の仕込みをしながら洗濯もこなす。
忙しい時間の中で効率的に家事はこなしたいもの。
子供やご主人が家を出た後は、脱衣室からバスコートに併設した物干場に洗濯物を干します。
バスコートは浴室との繫がりを意識した気持ちの良い南側です。
キッチンはダイニングに向き合う対面形式。
子供の様子を見ながら、家族と話しをしながら家事ができるのは、とても大切なことだと考えています。
家族が一緒に料理をつくったり、後片付けを手伝ったりと、自然と子供の自発性も育むことになるかもしれません。

収納もたくさんあればそれに越したことはありませんが、それでは床面積が増えるばかり。
本当に必要なものを絞り込む習慣も一方で考える必要がありますが、
まずは、必要な場所に必要な収納をきちんと設けることです。
キッチンにはワークトップの下のキャビネットの他に、背面に家電や食器の棚、
隣接して食品庫も設けました。
洗面室は鏡裏に小物収納と、背面に掃除器具とリネン収納。
トイレには洗剤やトイレットロールのストック。
主寝室には専用のクローゼットがあります。
まとまった収納は各階に1箇所はしっかりととります。
1階は玄関収納が季節ごとに入れ替わる器具や大きなものの保管場所。
土間続きでシュークロークを兼ねています。
2階は1坪のウォークインクローゼットを共有スペースに設置しました。

水回りや収納といった、すまいのサービス部分を合理的につくること。
それは無駄な面積を削るだけでなく、無駄な主婦の時間を取り除き、
くらしのゆとりを生むことになります。

くらしの余白―シンプルスタイル

23.jpg今は本物が求められる時代です。
生活を取り巻く様々な分野でそうした流れが見られます。
食やファッション、車やインテリア、家具・・・。
必要最低限な役割を超えた価値観を誰もが普通に求めるようになってきました。
それは必要条件を備えた上でのデザインの洗練と言えます。

コンセプトハウスは自然素材と確かな職人技術でつくるシンプルスタイル。
必要のない要素はそぎ落とします。
床と壁、あるいは壁と天井がぶつかる部分の処理。
窓と壁の配置の整理。
建具のつくり、そして取り付け方。

ルールはいたってシンプル、必要のない余分な線を消し単純にすること。

床、壁、天井、建具には本物の素材を使います。
無垢の木、塗壁、和紙、石、陶器、鉄や籐…。
ルールに従えば、素材本来の質感を生かすことができます。
一見さりげないために気付きにくいのですが、実はこういった処理には想像以上の手間がかかります。
熟練した職人の技術があってはじめて実現するのです。
形骸化した様式に比べれば、実はよほど日本の美意識に近いのかもしれません。

シンプルにつくられた余白。
それは本物の素材が映え、すまい手の思い思いのしつらえ、立ち居振る舞いを引き立てるために、
下地を整えることに他なりません。

リゾートライフ

17.jpgすまいはくらしのベースです。
ストレスの多い現代の生活のなかで、家に戻れば気持ちのよい環境に身を置くこと、
日常のなかにリゾート感覚を持ち込むこと、これは決して無理なことではありません。
光、風、水、火がくらしに寄り添い、オープンエアのなかで季節感を満喫できるリゾートライフ。
潤いのある環境で、好きなものだけに囲まれて家族と暮す。
コンセプトハウスでは、そんなくらしのイメージを、シンプルな余白に描きました。

夏の居心地のよさが、まずは軸となります。
風通しがよい部屋の内と外が溶け合うような開放型のすまい。
引戸やすだれで内外を仕切り、深い軒で日差しを遮るのです。
そのつくりを現代の広島に置き換えたとき、南方の文化・リゾートのイメージと重なりました。

この地域は夏には晴天が続き雨水を貯める池が点在しているといいます。
そうした土地の成り立ちをなぞり、敷地の中に池をつくりました。
池の水は雨水を利用していて、池に設置されたセキショウの木箱は水を浄化しています。
それはこの土地で生きるための知恵を示すと同時に、
暮らしの潤いや豊かさの象徴ともなるものです。

デッキでゆっくりとる休日の朝食、初夏だったらごろりと昼寝、真夏の夜は夕涼みでしょうか。
引戸を開け放った開放的なくらしのそばには水面が佇んでいるのです。

冬にはあたたかい火と暮らします。
ソファの横に小さな薪ストーブ、
自然素材の家になじむ自然燃料での暖房は、外気温や風の動きに左右されない輻射熱暖房です。
光や風と同じように自然のものとして、リビングで過ごす人に寄り添っています。
池を囲う土手があるように、薪ストーブを囲う小さなスペースをつくります。

脇に薪を積んで、傍らでゆっくりとあたたまりながら時を過ごします。
薪のはぜる音を聴きながらゆったり過ごせば、家族や友達との話題もつきません。
お酒を飲みながら、好きな本を読みふけるのもいいかもしれません。

夏と冬、それぞれの風景を描く池とストーブは、
ここで暮らす家族の中心にではなく寄り添ってそこにあって、
どちらもこの土地での暮らしを成り立たせる要素であると同時に、潤いや豊かさを感じさせる、この家でのだいじな要素です。
くらしの余白をシンプルにつきつめていくことは引き算です。
こうした季節の移ろいを映し出す要素は、まっさらな静寂のなかに響く音。
彩りのある旋律や響きは静寂のなかにあってこそ本当の豊かさを醸し出すのではないでしょうか。

中庭の引戸を開け放ち、耳をすませば、セキショウから水面に落ちるしずくが静かな音を奏でます。
そんな豊かさ、それが<Resort Life in Saijo>なのです。

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