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市川の中でも早くから人々の生活が根付いた地域、細い路地が入り組む奥まった場所に敷地はある。南東側にはかなり広い墓地が接していて、そこには大きな松の樹が群生しており、時間の蓄積を感じさせるとても清楚な空気が漂っている。江戸川が東京湾に流れ込む河口付近の土手に松が自生する、いわば原風景を留めているからかもしれない。
良好な日当たりを得ることが困難な都市環境にあって、この半永久的な緑地の存在は大きい。室内に光りが満たされた明るい家を望まれていた建て主のために、2階に主室を置いて一通りの生活がこのフロアで完結するよう計画し、必要な光を十分に取り込むように松の茂る緑地側に注意深く開口部を設けている。
一方、アプローチの路地からは敷地まで2m程上がっており、半地下のエントランスを道路レベルに設け、住み手の足腰の負担を軽減するためにエレベータを設けてメインフロアに直結させた。建物がアプローチに向けて触手を伸ばすように、エントランスやエレベータのボリュームが路地に顔を覗かせていて、既存の中にコントラストを持ちながら、親しげな表情を創り出している。
また、敷地の北側には陽光を受けて輝く細い竹と太く成長した松が自生していて、野性味と繊細さが同居していた。この風景を借景として部屋の中に取り込むことで、順光に照らされたとてもよい庭になることが予想できた。2Fにはリビングから抜ける視線の先に寝室から繋がるバルコニーを張り出し、一方、1Fのゲストルームには、壁の中に引込める全開できる木製サッシと奥行きのある広縁を設け、庭との親密な関係を大切にした。
ゲストルームの緑地側はハイサイドライトによって明るさを確保しながらも、景観としては一切を拒絶した抽象的なピンクの壁を建てることで、竹林を切り取る開口が純粋なピクチャーウィンドウとなり、ゲストルームのハレの空間を構築している。
Architects: 越野 俊
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