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敷地は大学キャンパスに隣接した閑静な住宅街で、南はバス通り、東と西は車が1台通れる程度の狭い道、北は細い用水路に囲まれた四方からよく見える場所である。
建て主は近所に、これも吉田の設計によって数年前に建てられた住宅で暮らしている。今回の建物は言わば本宅に対しての別宅で、ゲストハウスとしての利用が想像される。
最初の住宅を通して建築に造詣を深められた建て主は、幾つかの要望をお持ちになったが、そのどれもが人に見られることを意識したものであった。
平屋建てでありながら屋根軒先の重なりをつくり、その隙間から室内の灯りがこぼれるようなイメージ。板張りの普通の居間をやめ、畳に坐って縁側越しに庭の見える居間。しかし野暮な続き間にはしたくない、等である。
建て主の熱意に煽られるように第二案、第三案と提示し、両者のイメージが合致する最終案がまとまった。
建物主要部は4間角を基本構造にしながら、奥の座敷部分の梁間2間を延長して屋根を切り替え、玄関と応接室の上部では屋根を3尺余計に葺き下ろしている。
この大屋根の棟は4間スパンの中央にせず、南に1間ずらして天井懐を大きくとり、玄関部分の差し掛け屋根と二重の水平線を形づくる。
その小壁に設けた格子窓からは、トップライトとして天井と応接室に柔らかな光が差し込み、逆に夜間に外から見える照明の灯りも印象的だ。内部では茶の間、ダイニング、座敷に各々かかる2間の松梁が緩やかなアーチを描き、内部空間に優しい表情を見せている。
茶の間ではこの梁の上にさらに曲面形状の天井をつくり、内部の灯りが東面小壁から洩れるような仕掛けとした。
また壁は全て竹小舞下地の土壁中塗り、天井には赤杉中杢や同柾板、床には赤松柾縁甲板や栗フローリングなど、厳選された素材が用いられていることも空間の質を高めている。
中でも外部腰壁の下見板に使われた赤杉は特筆に値する代物であった。そして施工を担った岡山住建伝統建築部は職方を含めて優秀な技能集団であり、建物の完成度は極めて高いものになった。
岡山の小邸
住宅建築2007年5月号 No.385
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