富士ヶ嶺の山荘 of 建築家と建てる家 建築設計デザインの連合設計社市谷建築事務所

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越屋根を工夫した山荘

富士山の西側の高原にあるこの山荘からは、地形の関係で富士山を望むことはできないが、近頃の別荘地が急傾斜の土地ばかりで家を建てづらいという情勢の中では、希に見るよい敷地状況であった。

山の西側だから地勢は西下がり、つづら折りにつけられている道路に東と西で挟まれた敷地の東の半分は急傾斜だが、西半分は北側の隣地に向かって緩い勾配で流れていて家が建てやすく、その先に湿地がある。

敷地内も周囲も背の高い雑木林で、湿地の所だけに湿性植物という状況だから、眺望を楽しむのは無理なこと、雑木林の幹の重なりと湿性植物の群落を眺めるという、閉じた視界を楽しむ山荘がイメージされた。

こうした視界の方向に向けてこの家は屋根を下げている。屋根で視界の上部を切り取り横に展開させることによって、室内から見る風景を襖絵を見るような風あいに整えた。

屋根形は方形くずしというところだが、頂部の明かりとりの越屋根の形は新しい形を考えてみた。片流れで突き上げるとどうにも安っぽいので、突き上がらない形を求めてこの形になった。

建物の内部はほとんどワンルーム、寝室とするため区画した畳の部屋も建具を引けば完全に一体化する。2階は屋根裏部屋だが、1階の空間とは吹抜け的につながっていて、ここは現在は予備室だが、将来の子供室という想定もある。

富士ヶ嶺の山荘
住宅建築 1994年2月号 No.227

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