![]()
「かいの家」のに設置したドアホン。
エントランスと建物2階の間を金属製のホルンが渡っていて、来客者はホルンに向かって話しかけると、2階にそのままの声が響き渡り、住人に来客を伝える仕組みになっている。

![]()

普段、音はどこからともなく耳に届く。
人が発した声は空気中を目に見えない振動として相手に伝わっていくわけだが、伝声管はその目に見えない現象が形態として表出していることが大きな特質といえる。
外部では大きく張り出したコンクリートの天井面からぶら下がり、室内では2階の床面から立上がる真鍮のチューブが、各々、人の口元の高さまでスルスルと伸び、行き交う声の通り道を明快に可視化している。
管楽器を連想させるラッパ状のかたちは、音を効果的に拾い、また逆に放出させるための形態である。
通話時に開かれる室内側のフタは、全開にすると水平の位置で留まり、お気に入りのオルゴールの置き場所となり、客人との通話中の待ち時間に音のもてなしができるようになっている。
フタの取手がそのストッパーを兼ねるかたちとなっている。
真鍮という素材は、パイプの曲げ加工、ラッパ状のへら絞り加工、削り出しなどの機械加工を伴う、複合的な金属加工技術を要する製作への適応性から選択されると同時に、素材そのままを磨き仕上げとすることで、経年変化により変わり行く真鍮の表情がその家とともに時間の深みを刻み続けることを意図している。
外部では天井面から、室内では床面から、各々のチューブが人の口元の高さまでスルスルと伸び、音を効果的に伝達するためのラッパのかたちとあいまって、あたかも、家が口や耳の代わりの感覚器を人に差し出しているかのようでもある。
室内側のフタを通話時に全開にすると好みのオルゴールの置場となり、通話中の客人へ待ち時間の音のもてなしができる。
真鍮という素材の選択にあたっては、複合的な金属加工の適応性とともに、時を経てさび行く様が奥行きのある質感を生み出すことを期待した。
住宅建築2009.1月号抜粋 no.405
2008年グッドデザイン賞受賞
architect & device designer : 越野 俊
























